森の秘密基地

音楽に関することをだらだらと綴っています。

Leqtique Caeruleum Light drive High Definition (CLHD) レビュー

早速、エフェクターレビュー第2弾です。

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(左からlevel、definition、gain)

LeqtiqueはCaeruleum Light drive High Definition(通称CLHD)です。

このペダルのレビューはネット上にわんさかあるので今更言う事も特にない気もしたのですが、せっかくブログを開設したので個人的な感想だけでも綴っておこうと思った次第です。

エフェクタービルダーであるShun Nokinaさんが主催するLeqtiqueから2014年ごろに発表されたこのCLHD。イケベ楽器さんのShun Nokinaさんへのインタビュー(https://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/as_shun-nokina_interview2/index.html)を見てもらえればわかると思いますが、回路、パーツに対する拘りがものすごいです。この拘りこそまさにLeqtiqueの代名詞といえるでしょう。

少し話は逸れますが、その中でブランドやエフェクターにおける自身の考え方についても触れられていますが、一つのエフェクターメーカーという枠を超えて、表現者としての志の様なものも感じ、個人的にとても感銘を受けました。

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 (中はこんな感じです。外装もですが、実際に見ると本当に綺麗な作りです。)

では、早速レビューしていきますが、このペダルのパーツ等も含めた総合的なレビューは山ほどあるので、今回は音に関しての個人的な意見だけを書いていきます。

 

最初に言っておくと、このペダルは一応オーバードライブではありますが、オーバードライブとしては相当癖のあるペダルに思います(爆)。

まず、このペダルの特徴は2つで、

 1つ目は、プリアンプとして最適

 2つ目は、歪ませた時の音色が独特

 という事です。

まず、プリアンプとしての使用についてですが、僕はこの使い方が今は一番多いです。買った当初はブースターとして使おうと思ったのですが、結局は掛けっぱなしが一番良いという結果になりました。

で、プリアンプとして使った感想ですが、とにかく音の解像度が高いです。素晴らしい。パーツへの拘り、音の信号のロスのない回路設計、30V昇圧、ローインピーダンス化、それら全てがこの高解像度に繋がっていると思います。加えて、definitionコントロールがとても秀逸で、いわゆるハイファイな音からローファイな質感まで、自分の好みに合わせて自由自在に変えていけます。とても便利です。

あと、トーンの全体的な質感ですが、良質なコンプレッサーをうっすらとかけたような、独特ですが上品なコンプ感があります。具体的にいうと、アタックは出つつ、リリースは遅めという印象。僕自身、最初はこのコンプ感がいまいちピンと来ませんでしたが、大きな音量で鳴らしたり、アンサンブルで鳴らしたり、宅録で使用したりしていくうちに、このコンプ感が本当に絶妙だと気付きました。

コンプ感というとなにかと悪い印象があるかもしれませんが、CLHDのコンプ感はリフやリードはしっかり前に押し出し、コード弾きやカッティングは綺麗に引き立ててくれるので本当に重宝します。僕がプリアンプとして使っている一番の理由の1つです。おそらくこれがLeqtique独特の音なのだと思います。

 

又、他の歪みのブースターとしても使ってもいい働きをしてくれます。というのも、単体でもボリューム、ゲイン共にそこそこ稼げる事に加え、definitionコントロールで音の質感も好みで変えられるので相当便利に使えると思うからです。実際、僕自身も他のオーバードライブの前段に加えて透明感のあるゲインブースターやソロ用のブースターとして使うことがあります。

 

で、問題は2つ目です。

簡単に言ってしまうと、歪みとして使うと好みが分かれると思います。というのも、このペダル、音の解像度が高いのはとても良いのですが、どこの帯域も削る事がない、逆に言うと不要なローやハイも削ってくれないので、単体で歪ませた時にボワついた感じやバリッとした質感が顔を出すため、若干使いにくい音になるように感じました。

これが、多くの方がこのペダルを一般的な歪み用として使うことをお勧めしない理由だと思います。

ですが、不思議な事に、他の歪みと併用すると、この癖はあまり目立たなくなります。要は歪ませる場合は他のペダルでこの不要な帯域を削った方がいいということだと思います。それこそ一般的なTS系なんかはぴったりでした。結局、使い方次第です(雑)。

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という事で、CLHDのレビューでした。

色々と書きましたが、僕自身はこのペダル、お気に入りの1つです。特に宅録なんかだと、この音の解像度の高さは相当なアドバンテージになります。プリアンプ、バッファとして全体的な音の解像度を上げたり、他のペダルをブーストする事で歪んでいるのにとてもクリア、という弾いていて楽しいトーンを作れます。おすすめです。

ただ、好みが分かれる事は事実だと思うので、楽器屋さんで試奏されるといいと思います。

 

最後に、このペダルをじっくり使う事で、「良い音」に対する考えというか、「ハイファイだから良い、ローファイだから駄目などという事はない」という当たり前ながら大切な事を再確認させられた様に感じます。所謂エフェクターの売り文句にあまり踊らされないで、自分で弾いてみて感じた直感を信じるという事が何より大切なのだと痛感しました。

使う人に寄り添いつつ、感性を刺激しながら弾き手に足りない所を提示し、その人を成長させてくれる。

Leqtiqueというブランドのペダルの真の魅力はそんな所にあるのかもしれませんね。