森の秘密基地

音楽に関することをだらだらと綴っています。

Mid-fi Electronics Deluxe Pitch Pirate レビュー

皆さんこんにちは、Billです。今日もサクッと。

変わり種に見えて実はめちゃくちゃ堅実なペダルです。

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Mid-fi ElectronicsのDeluxe Pitch Pirateです。

アメリカでシンガーソングライターとしても活躍しているDoug Tuttle氏が主催・製作しているMid-fi Electronics。有名どころで言うとRandom Number GeneratorやClari(not)、Glitch Computerでしょうか。一般的に「変態系ペダル」と言われるであろうペダル達の巣窟のようなブランドとも言えるかもしれません(僕的にはめちゃくちゃ褒めてます)。

そして、そんなMid-fiから発売されている正統派モジュレーションディレイがこのDeluxe Pitch Pirateになります。

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(中身。基本的にはオーソドックなPTチップを使ったデジタルディレイがベースになっていて、ディレイ音にフォトカプラを用いたモジュレーション回路がかかる造りになっていますね。それにしても近年のMid-fiの基板はめっちゃ綺麗。初期からは考えられないほどです笑。)

それでは早速レビューに入っていきましょう。

今回のポイントは2つ。

①Mid-fiの中でも相当優等生。

②コントロールの振れ幅が大きい。

①これは実際に楽器屋さんで触った時にすぐ感じた事なのですが、このペダル、普通に優等生です。具体的に言うと、ディレイ部分に関してはPTチップを使用しているという事もありディレイ音がちゃんと前に抜けてきます。その上でディレイ音に薄ーく揺らぎを加える事で生まれるモジュレーションディレイがこれまた最高に気持ち良いです。

また、Deluxe Pitch Pirateの特徴の一つとしてBlendコントロールがキルドライも出来ます。ディレイ音にモジュレーションがかかる仕組みになっているので、ディレイのコントロール類を最小にした上でモジュレーションのコントロール類を上げていくと、何とコーラスやヴィブラートとしても使えます。

個人的にはこのモジュレーショントーンが非常に好みで、ディレイ回路を挟んでいるからなのか音の出が若干(数十msec程)遅くなる&モジュレーショントーンが原音と比べて若干ハイカットされるのですが、それ故に生まれる「程良いローファイさが加味されたヴィブラート」が最高に好きです。

それと同時に、Blendを半分程に設定すれば「爽やかで綺麗なコーラスサウンド」まで出せてしまうのがDeluxe Pitch Pirateの凄い所。元々情報が少ない事に加え、ノブ類も多い事からつい扱いづらそうなイメージを持たれてしまいがちなペダルですが、実際に触れてみたらシンプルかつこれ以上ない程多様な使い道が見出せる稀有なモジュレーションディレイペダルでした。

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②ここがある意味Mid-fiの真骨頂とも言えるかもしれませんね笑笑。Deluxe Pitch Pirateはそれぞれのコントロール幅が非常に広いので、先述した正統派な使い方とは打って変わって「変態系」までぶっ飛ぶ事が出来ます笑笑。

まずWaveというコントロールが一つの肝で、これはモジュレーションの波形をコントロールするノブです。上げれば上げるほどモジュレーションが矩形波っぽい派手な揺れ方になる印象で、コーラスやヴィブラート、モジュレーションディレイとして使う時に独特な雰囲気をプラスする使い方がオススメです。

その上で、各コントロールの幅が非常に広いので激しいディレイの発振はもちろん、モジュレーション部分も設定によってはオクターブを超えるほど強く効かせられるので発振音と組み合わせる事で「ズギューーーン」という風な、揺れというより暴走シンセという方が近いとんでもない音も生み出せます。

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という事で、Mid-fi ElectronicsのDeluxe Pitch Pirateのレビューでした。

簡単にまとめると「普段は堅実で大人しい使い方が出来て、その上でいざという時にトンデモ飛び道具にもなれるペダル欲しいなぁ」というだいぶニッチなギタリストの方がいらっしゃいましたら是非お試し頂きたいペダルです(その"いざという時"が果たして実際に来るのかどうかさえもはや気にしないギタリストの方には強くオススメしたいですね笑笑)

加えて、なんて言うんでしょうか。明らかに個人の方が製作したと思われるインディーなPCゲームやホラーゲームにも通ずる、ポップな仄暗さと独特のワクワク感があります(伝われ)。そう考えるとこのテレビノイズの様な塗装もそれっぽく見えてきます。

何はともあれ、独自の世界観がしっかりとあるエフェクターだなと率直に感じました。

何かと奇抜なアイデアサウンドデザインというイメージが先行するMid-fi Electronicsですが、実際に触れて知れば知るほど「使いやすさと変態性の両立」が非常に上手いブランドだと分かってきます。「一度ハマると何故か集めたくなってしまう」という前評判は正にその通りだなぁと思いました。

どなたかの参考になれば幸いです。それでは。