森の秘密基地

音楽に関することをだらだらと綴っています。

Mantic Isaiah

前回から半年以上経ってしまいましたね。本当にお久しぶりです、billです。

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エフェクターレビュー第3弾にして初の空間系、Mantic effectsのIsaiahというディレイをご紹介します。

まず、Mantic effects(Mantic conceptual)といっても中々ピンとこない方も多いと思います。というのもこのブランド、いわゆる輸入代理店が日本にないのでそもそも日本にほとんど入ってきてないのが理由といえます。なので、軽くここの説明をしておくと、Mantic effectsはアメリカはコロラド州デンバーに居を構え、本当に個性派な、もっと言うと変態的なペダルをいくつも製作している、良い意味でアメリカンな雰囲気も感じさせるハンドメイドペダルブランドです。

ここの代表機種というと、一番最初に挙がるのはいわゆる変態系ファズに属するflexだと思います(一応flexの機能拡張版のflex proのデモを置いておきます↓

https://m.youtube.com/watch?v=EnE-mYwmhd4)。flexは変態系ファズでありながら、プロの中でも使っている人が多く、国内で一番有名な人で言うと、ゲスの極み乙女。indigo la EndDADARAY、ジェニーハイ等で活躍している川谷絵音さんが使っていたりします。実際、ゲスの極み乙女ではゲストーリーやイメージセンリャクなど、DADARAYではbreeze in meなどで、flexと思われるグリッチーなファズギターが聴けます。

また、このブランドのもう一つの特徴として、作りがとてもヘビーデューティであることが挙げられます(ここに大陸製の雰囲気が感じられます)。スイッチやジャックなど、トラブルが起こる事が多いパーツにはミリタリーグレードのものを用いているようです。

実際にこのペダルを使ってみると、スイッチやジャック、コントロールのポットは操作していてとても安心感があり、内部の配線や回路設計も所謂変態系ペダルとは思えない、とても綺麗なものでした。もしManticのペダルを持っている方は是非一度、中身を見てみてください。ただやみくもな変態系とは違う、エフェクターとしてのクオリティ自体にとても拘りをもっているメーカーだという事が分かって頂けると思います。

で、僕が購入した理由も、まさにこのエフェクターとしてのクオリティにあるわけです。

ということで、ここからIsaiahのレビューに入りたいと思います。前置きが長すぎた…

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箱を開けるとこんな感じです。

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(左からmix、rate、feedback)

無骨なカッコよさと、どこか独特な可愛さが感じられます。

見てわかる通りコントロール類はとてもシンプルで迷うこともないですね。

 

で、このペダルの特徴は3つです。

1:そもそもの音のチューニングがとても良い

2:シンプルながら用途は広く、使いやすい

3:ちゃんと発振する(ここ重要)

 

まず一つ目の特徴ですが、このペダル、一言で言うなら正に「アナログ・デジタルのハイブリッドディレイ」と言えると思います。というのも、これは是非一度弾いて体感してみて欲しいのですが、アナログディレイっぽい減退音のふわっとした暖かさとデジタルディレイのリピート音の爽やかなクリアさの両方が感じられます。なので、例えばクリーンのアルペジオやコードを弾くときにリバーブ的な音の響きを出す使い方やスラップバックディレイ、深めにかけてしっかりと音の広がりを出す使い方など、ディレイで一番使われるだろうと思われる使い方ではあらかた良い音が出せると思います。

 

二つ目に、ちょっと前にも書きましたが、本当にコントロール類がシンプルです。それこそ、所謂ディレイではこれ以上削るところがないくらいシンプルです。ですが、それぞれのコントロールが本当に良いところを突いてます。mixはメーカーが原音重視を謳っているように、上げてもキルドライされることはありません。また、mixをマックス辺りまで上げると、リズミカルなシーケンスディレイも作れます。rateはディレイタイムの調節ですが、特に短すぎる事もなく、必要十分な丁度良い長さだと思います。feedbackに関しては一般的なアナログディレイくらいの量を想像してもらえると分かりやすいと思います。所謂Bossのデジタルディレイなんかと比べると少し少なめかもしれませんが、個人的には使いにくいと思った事はないですね。むしろ丁度良い感じです。また、feedbackは3時以降に回すと発振します。

 

そして最後、発振についてです。これも実際に試奏して感じてもらえると嬉しいのですが、発振させるとき、是非rateをマックスまで上げて、自分の好きなフレーズやコードを一つ弾いて、その後にrateを半分以下まで下げてみて下さい。とても綺麗にピッチシフトするんです。そして、その後にやってくる音が崩壊が何とも楽しく、快感が味わえると思います笑笑。あとはrateをグリグリ回したりして、自由に楽しむ事が出来ると思います。

 

という事で、ManticのIsaiahのレビューでした。ここまでの説明を読めば分かるかもしれませんが、このペダル、相当プロの現場における使い勝手を意識して作り込んであります。ディレイにおける必要十分な使い勝手と楽しさをしっかり押さえているといった感じです。

というのも、このペダル、アメリカはカリフォルニア州ロングビーチ出身のキーボード奏者で既に亡くなってしまったIkey Owensさんの要望にManticが応えて開発したディレイなんだそうです(ちなみに、このIsaiahという名前もOwensさんの本名から来ているみたいです)。

実際に使ってみて、納得でした。

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総じて非常にクオリティが高く、タップテンポなしのディレイならこれで十分、というか個人的にはディレイはこれ一台で十分だなー、と思わせるくらい使いやすいディレイでした。買ってよかったー。

あと、冒頭にも書いた通りこのペダル、入手が難しく、価格もシンプルなディレイとしては結構高めなので機会がある方は是非一度楽器店さんで試奏してみて欲しいです。

それでは。